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第83話

 投稿者:綾華☆☆  投稿日:2008年 7月19日(土)02時07分49秒
  「えっー!!レッズのミッツーが、隆一っあんの、弟!!」
日系イギリス人や、イギリス在住の日本人の子供のせいか、サッカー好きが多い。
ましてや春二は、J2からJ1への昇格請負人として、知られている。
プロ契約してから、ずっとJ2チームを渡り歩いて、すべてのチームを昇格させている。
メンバー全員…隆一を除く…に、マネージャーのパシちゃんまで、まるでアイドルのおっかけしてる女の子のごとく、キャーキャー言ってる。
「サインしてください!」
「レッズをJ1に上げてください!!」
恐縮しながらも、春二も、まんざらではないらしい。
「あ、そや。八王子と言えば、も一人、ビッグなヤツいたな。呼んでみっか」
八太郎が自分のケータイを取り出し、メールを送った。
しばらくして、ケータイにメールが着信するや、ドアが開いた。
「ねぇ、ヤッターマンは、誰…って、なんで兄ちゃん達いる…」
「お、マスターケイ。実際会うのは初めてやな」
そう、八太郎にメールで呼び出されたのは、やはり弟の、景三だった。

~つづく
 
 

第82話

 投稿者:綾華☆☆  投稿日:2008年 7月15日(火)23時34分41秒
  「…こんなところに、その、いい店あるの」
マネージャーのパシちゃん運転するバンのリアシートに座る北海が、助手席に座る八太郎に尋ねた。
「えっと…ああ、このスーパーからそこを曲がって、直進」
北海の隣に座る隆一は、かなーり、イヤーな顔していた。
トラックダウンが終わり、どこかで祝杯をあげようとなり、
八太郎が知り合いの店に行こうと言い出し、車は八王子に入っていた。
どんどん、自宅方面だ。
「あった!パシちゃん、ここここ!Key’s  Cafe」
隆一は椅子からずり落ちそうになった。
自宅の三ッ星医院の真向かい、三兄弟がケンカして、敏子におしおきビンタを喰らっては、逃げ込む、キース(うじきつよし)の店だ。
八太郎を始め、他のメンバーも店に入っている。
逃げようにも、真向かいのシケたおんぼろ病院で、古臭い洋館が自宅だと、バレてしまう。
「キース!久しぶりー!!」
「おっ!八太郎!!」
カウンターでグラスを拭いていたキースが顔を上げる。
しかもカウンターには、我が弟、春二が、バイトのバーテン、
マコト(岡田義徳)に、タロットカードで占いをしてもらっているではないか。
「シュンさん、しばらくタタリ続きみたいやけど、大丈夫、もうじき抜けるよ。」
「ホント?…って、あれ、兄さん」
こいつ……!!
しかもご丁寧に、「兄さん」と言いながら、俺を指してる…!!

~つづく
 

第81話

 投稿者:綾華☆☆  投稿日:2008年 6月19日(木)21時21分55秒
  さて…
THE HERMITの日本でのお披露目Liveまで、一ヶ月を切った。
お披露目Liveは、日本青年館で、チケットは既に完売。
それに合わせて、ミニアルバムを発表することになり、そのトラックダウンが始まった。
隆一も勿論、スタジオに詰めている。
「パシちゃん、コンビニでいいから、キャラメルとコーラ買ってきてよ」
「また…隆一っあん。僕はパシリ小僧じゃなくて、端里耕造ですってば」
威厳ゼロな、チーフマネージャー、名前の読みが「はしり・こうぞう」。
「あ、パシちゃん、俺も、焼きそばパンとコーヒー牛乳ね」
「プリングルスじゃなくて、カルビーのポテチと、すいかソーダ」
「カルピスと焼肉サンド」
「メロンパンにイチゴオーレ」
「買い物揃ったところで、さっさと行く!!」
「はいぃーー!!」
隆一に褐を入れられ、パシリ小僧もとい、マネージャーは飛び出した。
「…おまえら、パシちゃん使うなよ。気の毒だから」
「あんたが一番、パシちゃんに気の毒なこと、しとるやないけ!!」
無敵のリーダーの欠点、それは遅刻と絡み酒で、一番はた迷惑しているのが、誰であろう。
リーダーの北海だ。

~つづく
 

第80話

 投稿者:綾華☆☆  投稿日:2008年 6月17日(火)00時30分1秒
  「ただいま帰りました。」
「シュン兄ちゃん、お帰りー!楽しかった?」
「楽しかったですよ。ついつい、おしゃべりが弾んで、遅くなりました」
「シュン兄ちゃん、これ」
約束のまつしま屋の特製アップルパイ「めで鯛」と、スパイクのシューレースを、弟からプレゼントされた。
「ケイのくれるシューレースは派手だけど、ゲンがいいんだよな。…ちゃんと、僕のラッキーカラー、選んでくれて」
チームカラーの赤と、春二のラッキーカラーである黄色との組み合わせ。
いつも同じプレゼントだが、まだ学生している弟からの、気持ちが込められたプレゼントは、素直に嬉しい。
「あら、シュン、お帰りなさい」
湯上がりにパジャマを羽織ったレネが微笑みかける。
「シュン、私からはこれ…」
レネが差し出したバスケットには、手焼きのスコーンが山盛りになり、ジャムが二つ入っていた。
甘党の春二には、また、たまらないプレゼントだ。
しかも、レネの手作りとは…
「それから、これ、隆一さんから」
「兄ちゃんは今作曲中。俺様のゲージュツが壊れるからってさ」
兄の性格らしいと、春二は理解した。
中身は、新品のサッカースパイクだった。
しばらくして、シンセサイザーの前に陣取る隆一のそばに置かれたケータイが、メールを着信した。
「兄さん、ありがとう…か」
しばらくして、春二のケータイに、隆一からの、彼らしい返信に、春二と景三、レネは笑いあった。
「レシート入れてるから、サイズ違いなら、換えて来い。」
そして、ずっと下のほうに
「HAPPY BIRTHDAY MY BROTHER SHUN」
…どこまでも、隆一らしい、誕生日の祝い方だ

~つづく
 

第79話

 投稿者:綾華☆☆  投稿日:2008年 5月29日(木)17時13分33秒
  春二と、あいが出会ったのは、とあるツーリングイベントだった。
春二のバイクがエンジントラブルで一人遅れ、工具を出して修理していたら、一台のバイクが引き返してきた。
女性ながらも、テキパキとバイクを修理した腕前、そして一人で引き返してきた優しい気持ちに、春二は参った。
あいもまた、真面目で素朴な春二の人柄を気に入り、付き合い出したのだ。
「シュン、宝塚のチケット、ありがとう。とってもよかったわ」
「いや、こっちこそ。押し付けたみたいだったのに、楽しんでもらえたとはな。」
サッカー選手とバイクライダー。
一見華やかそうな二人だが、背景なしで知り合い、好意を寄せ合っている。
…ロンドンの街角で出会った隆一とレネも、また…

~つづく
 

第78話

 投稿者:綾華☆☆  投稿日:2008年 5月29日(木)00時31分59秒
  「シュン兄ちゃんのいけず…!俺達ほったらかして…」
昨日5月5日は、春二の誕生日だった。
しかし、肝心の春二は、試合で、遠征中だった。
ので、翌日、景三の発案で、隆一とレネ、景三とで、誕生日パーティーをすることになった。
ところが…
肝心の春二は、練習が終わるや、汗を流して着替えるなり、再びバイクで、出かけてしまったのだ。
「仕方ないわ。ケイ。シュン、先に約束していた。って言ってたから…」レネが景三を慰める。
「…シュンは、ああ見えて、実はモテるからな。」
隆一が呟く。
「うん、シュン兄ちゃん、学生の頃からモテてた。」
「シュンは、見た目はいかついが、実は気配りの出来る性格だからな。」
…噂しあう兄と弟など知らず、春二は、待ち合わせの、ノンアルコール・ライダーズバーのドアを開けた。
「調子よさそうだな。」
「シュン、お誕生日おめでとう。それから、レッズ連勝もね」
「サンキュ。…何か、飲もうか。」
春二の顔が満面の笑顔になるのは、付き合い出して2年半になる、バイクメーカーのテストライダーの槙村あい(藤原紀香)だった。

~つづく
 

第77話

 投稿者:綾華☆☆  投稿日:2008年 5月27日(火)10時40分37秒
  翌朝、ゴソゴソする物音で、敏子は目を覚ました。
「あ…お父さん、もう帰るの」
「おぉ、明日から連休後半の泊まり客が来るけぇ、したくをせんといけんけぇのぉ」
「隆一、春二、景三ー!起きなさーい。ゼットンじいちゃん帰るよー」
しばらくして、三階の景三の部屋にいた春二と景三、二階からレネが降りてきた。
「ゼットン、もう帰るの」
「駅までバイクで送りましょうか。」
「隆一さん、呼んでくるわ」
「…ここでえぇわ。寂しゅうなるけぇ。それより、たまには遊びに来い。世界遺産の厳島神社に、うまい魚に、鹿と格闘しながら弁当食いに来い。」
軽く手を降り、ゼットンこと江田島吾郎は娘の嫁ぎ先を後にした。
駅への道を、角を曲がった所に、隆一が立っていた。
「吾郎じいちゃん…その…」
謝るのが下手な、少し自己チューな孫が、懸命に言葉を探していた。
「ん、これ」吾郎は隆一の手に、小さな何かを握らせた。
「鯛の鯛…」
鯛の骨の中に、鯛の姿に似た骨があり、それを鯛の鯛と言い、幸運のお守りだとされている。
「あのカワイイ嫁さん連れて、また、宮島に遊びに来い。レネは宮島に必ず来ると約束してくれたけぇ、お前が連れて来てやれ。…わしゃ、待っとるけぇのぉ」
隆一をその場に置いて、無敵怪獣は故郷へと歩き出した。
「吾郎じいちゃん…またなあ!」
笑顔で隆一は、手を振った。

~つづく
 

第76話

 投稿者:綾華☆☆  投稿日:2008年 5月26日(月)23時29分58秒
  「…隆一さん、開けて」
レネの声だ。
ロックを外して、戸板を開くとレネが屋根裏部屋に入って来た。
「お皿、片付けるわね。それから、喉渇いたら、これ…」
ポットに入った紅茶とマグカップを隆一のそばに置いた。
「隆一さん、右手、出してくれる。」
隆一が右手を差し出すと、レネはペタンと、隆一の右手に、傷絆創膏を貼付けた。
「怪我なんか、してねぇよ…」
「でも、痛いでしょ。大好きな、宮島のグランパを、叩いたりしたから…」
「レネ…!」
「あ、待って、隆一さん」
レネのポケットから、おもちゃのイエローカードとレッドカードが出て来て、レッドカードを隆一に差し出した。
「ダメなのか…」
「…ごめんね。」
隆一は側にあった毛布を引き寄せ、ふて腐れて寝転び、まず自分の体の下に半分毛布を敷いて、残り半分を、体の前に置いた。
「俺は今夜は、このままふて腐れる。柏餅ー!!」
「…おやすみなさい。」
隣の部屋から、春二と景三が、「どうだった?」と顔を出している。
「柏餅ー!って、隆一さん、叫んでたわ」
「…復活近いですね」
「うん、一発ネタが出来るなら。しかし、兄ちゃん、ふて腐れて寝る時、いつも『柏餅』だね」
…ともかく、隆一の復活は、近いようだ

~つづく
 

第75話

 投稿者:綾華☆☆  投稿日:2008年 5月26日(月)18時43分50秒
  隆一が一人、屋根裏部屋で拗ねていた頃、下では大盛り上がり大会だった。
三ッ星家の怪獣三兄弟、隆一が高校に進学するまでは、毎年夏休みいっぱい、瀬戸内海で過ごしていた。
毎年、8月の終わりに、真っ黒に日焼けして、ますます元気に騒がしくなって帰ってきていた。
「一番メソメソしてたのは、シュンやったな。毎晩泣いて…」
「ゼットン…昔のことでしょう。」
「案外、ケロッとしとったのがケイでな。その日のうちに友達作るは、猫やカニ、タコまで拾ってきて、飼うー!って、駄々こねるけえ」
「ははは…」
一人娘の敏子がはるばる東京へ嫁いでしまい、毎年遊びに来る孫の怪獣三兄弟が、楽しみだったのだ。
「防空壕、覚えとるか?」
「…ありましたね。そんなこと」
「うん、あった。」
レネには、何のことか、わからなかった。
「宮島には、防空壕があってな。島の反対側にある、誰も行かないところにあって、島の子供達と一緒に、こいつら怪獣三兄弟も、行ったんや」
道なき道を行き、歩いて、防空壕まで辿り着いたのはいいものの、帰りまでは考えないのが子供だった。
帰る途中で日が落ちてしまい、真っ暗な中に、子供達が取り残された。
この時、隆一がみんなを引っ張って、家族が待つ町まで、連れて帰って来たのだ。
「あの時は怖かったですよ。真っ暗だし、お腹は空くし、喉もカラカラで」
「シュン兄ちゃん、メソメソしちゃったよね。俺も怖かったけどさ、隆一兄ちゃんの手をギュッ!と握ると、怖くなかった。」
隆一が中学2年生、春二が小学5年生、景三が小学3年生だった。
隆一より年かさの子供もいたが、その場でリーダーになり、全員を励まして、子供の小さな足で歩き続け、自力で帰ってきたのだった。
「…隆一さん」
「女の子も、ケイより下の子もおったけど、皆、連れて帰ってきた」
「隆一も、あん時は逃げ出したかった言うとった。でもシュンがメソメソしたり、ケイが自分の手を握って来るから、腹を括って、歩くしかない。と皆を連れて帰って来れたと言うとったけえ」
そう言って、吾郎は遠くを見つめた。

~つづく
 

第74話

 投稿者:綾華☆☆  投稿日:2008年 5月26日(月)15時22分19秒
  「兄ちゃん、昼飯持ってきた。開けてよ」
……もうそんな時間か。ポケットに入れていたケータイの時計を見ると、1時を回っている。
屋根裏からのロックを外してやると、景三がなにかを手に梯子を昇ってきた。
「昼飯。じゃね」
それだけ言うと、盆を置いてさっさと降りてしまった。
盆の上には、あつあつの広島風お好み焼きが、缶ジュース…瀬戸内オレンジジュース…つきで乗っていた。
さっきまで、下が盛り上がっていたのは、こう言う訳か…
しばらく無視して背中を向けていたが、3畳にも満たない屋根裏部屋だ。
狭い部屋に、お好み焼きの匂いが充満してきて、いやでも空腹を刺激する。
……食い物には、怨みつらみも、ないよな。
……
「兄ちゃん、晩飯、持ってきた。開けてよ」
今度は鯛飯に、小鰯の天ぷら、魚の味噌汁だ。
「兄ちゃん、じゃね」
からになっている昼飯の盆を持って、景三は下へ降りていった。
……ゼットン、いや、吾郎じいちゃん…
隆一は、わかっていた。
吾郎じいちゃんは、謝っているのだ。
6年も連絡取らず、殴られても当然な、謝ることもしない、バカ孫を殴ったことを

~つづく
 

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